マイティガード
服装から見てもこの館の使用人だ。
通常の二倍近い太さの矢は、彼の脳に後ろから一直線に貫通している。まだ生きている…という見込みは無いだろう。
マドック刑事は唇を噛み締め、懐から無線を取り出すと、
「……トレイシー警部、申し訳ありません。
使用人の一人が殺害されました……。」
監視室にいるトレイシー警部に、悔しげにそう報告した。
無線からは、
《…ああ、すぐに向かう。
廊下に溢れてる野次馬を散らしてくれ。》
快活さを失ったトレイシー警部の声。
彼は監視室にいるのだ。
つまり、この無惨な死体もカメラ越しに見えている…。