マイティガード
「いいえ。使用人の醜態は主人の責任だもの。
…それに、大声出したらちょっとスッキリしたわ。」
ふふ、とはにかむ顔は、紛れも無く年相応の少女の表情だ。
そんなアネリを見ていてマドック刑事は、なんだか不思議な気持ちになった。
つい言葉をなくして、アネリをじっと見つめてしまう。
「ご立派でしたよお嬢様。
さあ、日も変わってしまいました。そろそろお休みになって下さいませ。」
沈黙しだした二人の間に割って入るようにして、パーシバルが手元の時計をアネリに見せてきた。
針は0時をとっくに過ぎている。
「あ、本当だ。
…んー。そういえばなんだか眠いかも。
パーシバル、部屋まで運んで…。」
アネリは大きくあくびをしながら、「んっ」と両手を突き出して、パーシバルに抱っこを要求。
こういうところだけは、箱庭で使用人達に甘やかされて育てられたお嬢様らしい。