マイティガード
まあどちらでもいいことなのだけど。
「うん、じゃあ、今日からよろしくね。
名前を聞いてもいい?」
「は、はいっ。
クレメンスと申します。お嬢様…!」
アネリの言葉は友好的だが、顔は相変わらず無表情だ。
そういえば前のメイド(どうやらドリーというらしい)を名前で呼んだことなかったな…とまたひどいことを朧げに考えながら、アネリは頭の中で二、三度クレメンスの名前を繰り返した。
女性にしては珍しい名前なので、覚えるのは簡単だった。
くるくると頭の中を回転させていると、いそいそと食事の準備を始めたクレメンス。
「?」
アネリは、やはり食器が自分とパーシバルの分しかないことに気付く。