マイティガード



ドリーの遺体が運び出される段階になって、アネリは自分が何をしにここへ来たかを思い出した。


「…今日は体は洗えないわね。さすがに。」



不謹慎と思ったので、周りに聞こえないようぽつりとつぶやく。


お湯を頼んだものの、こう警察が大勢いては入るに入られないだろう。
メイドには悪いが行水は我慢する他なさそうだ。


しゅん、と肩を落とすアネリに、パーシバルが優しく声をかける。


「一日きりの我慢ですよ、お嬢様。
明日、修理屋を呼びましょう。そうすれば浴室が使えるようになりますからね。」


人差し指を立てて言う姿は小学校の先生のようだ。
身の上の理由で、教育過程はすべて家庭教師に頼っているアネリには分からない感覚だが。


< 181 / 352 >

この作品をシェア

pagetop