マイティガード
「…………。」
相変わらずアネリは無言、無表情のままだ。
そこで、室内の沈黙を破った者がいた。
「お嬢様、大昔に東洋の国で開発されたからくり人形をご存知ですか?」
パーシバルだ。
アネリが開いているのはアジアの民族文化の本。その挿絵にある、着物姿の女達を指差しながら訊ねる。
本にだけ目を向けていたアネリが、初めて顔を上げた。
「ううん。知らない。」
するとパーシバルはにこやかに微笑む。
「電気を使わなくても人形が自力で動くのです。
素材は木だけ。
芸をする人形、お茶くみ人形など、小さな体で人間のような仕事をこなすのです。
現代の機械の原点。まるで神様の創造のよう。不朽の代物なのですよ。」
パーシバルの説明を聞く間、アネリはじっと彼の顔を見ていた。
とても興味深そうに。本の内容には関心を示していなかったのに。