マイティガード


咄嗟に護られたおかげで、アネリはかすり傷ひとつ負ってはいなかった。

だが、代わりに傷ついたパーシバルを目にした時、



「………………っ!」


アネリは息を呑んだ。



背中の血が服を伝い、アネリの体までも赤く濡らす…。

これが全部、パーシバルの血だなんて信じられなかった。



「…っ、あ、……ぁ…!」


泣き出したかった。


―――…だめ……!!


…が、それを理性が押し止める。



パーシバルが望んでいるのはアネリの泣き声ではない。
無事なアネリの、優しい返事を彼は待っている。

だから、




「………だいじょ…ぶっ!
無事よ…、あたし…!」



アネリは涙を堪えながら、精一杯の笑顔を見せて答えた。



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