マイティガード


アネリは壁に寄り掛かるようにして座り、さっきから顔に暗い影を落としたまま。

…無理もないだろう。
彼女は目の前で大切な従者を…。


「お嬢様。」


バネッサがそっと肩を抱く。

それでもアネリは反応しなかった。



「…アネリさん。お気持ち、お察しします。

だからこそ、パーシバルさんのためにも生き延びて下さい。
警官隊が犯人を捕まえるまでの辛抱。そうすればアネリさんや皆さんは解放されます。

…どうか気を強く持って。」


マドック刑事の声を近くに感じて、アネリは少しだけ顔を上げた。


「……………。」


そこには優しげに、しかし儚げに目を細めるマドック刑事の顔。

整えられていた髪も上等なスーツも、今は乱れてとても見れたものじゃない。


けれど彼なりに、必死に皆を護ろうとした結果だ。


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