マイティガード


「化け物……?私が?」


それは誰が聞いても侮辱の言葉と受け取るだろう。


だが、


「……ええ、そうですね。

むしろ光栄です。
私はずっと化け物になりたかったのですから。」


パーシバルはその侮辱を、褒め言葉として受け取った。



そこには昔、アネリに読み聞かせた一冊の絵本が関係している。


―――王子様はお城に住まう、火を吐く恐ろしい怪物に、正義の剣を突き立てました。―――


「…お姫様がピンチに陥ってようやくノコノコ現れる王子様よりも、つねにお姫様の傍でその身をお護りできる怪物に、

…私はなりたかったのです。」


機械でありながら驚異的な力を持つ自分は、人間からすれば怪物だ。

あの時、絵本の中で王子(にんげん)に殺される怪物が、パーシバル自身の境遇と重なった。


だからパーシバルは、人間になれないならせめて怪物になりたいと思ったのだ。
ただし、


―――アネリお嬢様を何者からも護る、最凶の怪物に。



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