マイティガード


もうパーシバルは瞳を曇らせることはなかった。


心の中まで見透かされそうな鋭い眼光は、マドックを逆に恐れさせる。


「……あっ、ぁ……ア…!」


構える拳銃がぶるぶると震える。

今更こんなものが何の役に立つだろう。
目の前にいる怪物には効かない。

そして、


「ぐ、ガアァ……!!」


バネッサが這いずりながら、ゆっくりとこっちに近づいてくる。


マドックは命の危機を感じながらも、それを回避する手段なんて無いことを分かっていた。


「………ッ…!」


絶体絶命。
まさかそんな言葉を使う日が来るなんて。



マドックはパーシバルに向けていた銃口を、ゆっくりと自分の顔に近づけていく…。


「ッ!」

「いけないっ、パーシバル!」


アネリの声と同時にパーシバルは走り出す。



マドックは銃を口にくわえ、自分で自分の命を絶とうとしていた。


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