マイティガード


父は扉の脇に立てかけておいたボウガンを手に取る。


『すごいだろう。リトル・レッド社が格安で提供してくれた。
仲間のぶんも全部だ。』


殺人に使われるはずなのに、流線型の美しいものだった。

ウィリスはその形をしっかり目に焼き付けて、同じボウガンを背負う父と兄を見上げる。


『ぼくも、大きくなったらふたりを手伝うよ。』


すると今度は兄が笑う。


『はは、馬鹿だなぁ。
戦争はこれきりだよ。いや、これきりじゃないといけないんだ。

…お前はしっかり母さんを護れよ?』


ウィリスは視線を隣に立つ母に向ける。



父と兄は外で戦い、自分は家の中で戦わなければ。

ウィリスは信じていた。父と兄は必ず帰ってくる。襲撃は必ず成功すると。



『うん。いってらっしゃい!』



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