マイティガード


「繋がりましたよ。」


パーシバルが受話器を手渡す。

受話器を耳に当てると、数回のコールのあとに、


《こちらはウォーロック屋敷本邸でございます。お名前をどうぞ。》


屋敷の使用人の淡々とした声が聞こえた。

アネリが優秀と称した使用人。
だが、彼女はその“優秀”すら毛嫌いしているらしく、


「あたし。アネリ。
早くパパに繋いで。」


素っ気なく命じた。

すると電話口の使用人は、


《これはご機嫌麗しゅうございます、アネリお嬢様。
数日前のアントニオ・デボン逮捕の件は耳にしております。
旦那様も大変喜ばれ……》


抑揚の無い声のまま、アネリの活躍を褒め始めた。


「その話はいいのよ。
いいからさっさとパパと話させて。」

またも無愛想な言葉を返すが、どうやら照れ隠しだ。

ルロイが喜んでいると知ったアネリは顔を赤く染めている。


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