マイティガード


他の使用人には寄せられなかった信頼。

それは決して立場が下な彼らを軽蔑しているからではなく、幾度となく使用人達に裏切られたことによる、アネリの消えないトラウマ。


「体が頑丈なわけでも、痛みに強いわけでもない彼らに、身を呈して護ってほしいなんて、無理なお願いだって分かってるわ、本当は。

…でも、それでもね、あたしは護ってほしかったの。助けてほしかったの。

“旦那様の命令だから”じゃなくて、“アネリだから”って理由で、大事に思ってほしかったの…。」



―――ただ好きになってほしかっただけ…。



過酷なものを望んでしまっただろうか。

その証拠に、使用人達の心は結果的にアネリから離れていってしまった。



けれど、


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