マイティガード
「お疲れ様、オドワイヤー。
心配いらないわよ。しばらくは別荘の中だけで過ごすつもりだから。」
医務室の戸棚にずらりと並べられた薬品を見回していた目を、老年医師のほうに向けるアネリ。
彼はあまり代わり映えしないが、髪の生え際が最近更に後退してきたようだ。
医者として腕も良く、長年ウォーロック家に仕え厚い信頼もあるオドワイヤー。
他の使用人達より信頼はしているが、アネリはあまりオドワイヤーが好きではなかった。言うなれば、少し苦手。
「だとよろしいんですがねぇ。
勇敢だが人として未熟なお嬢様はいつまた問題を引き起こすやら。
じゃじゃ馬の一言じゃ片付けられん。旦那様も手を焼くわけだ。ハッハ…。」
どこか小馬鹿にしたように笑いながら髭を撫でる。
屋敷内最高齢である彼は、アネリに対する手厳しさも最上位なのだ。