マイティガード
もちろんパーシバルが黙っているわけもない。
――ばんッ!
治療が済んだばかりの腕を荒々しく机に叩きつけ、唸るようにオドワイヤーを脅す。
「問題を起こすのはお嬢様ではなく、復讐に目を眩ませぞろぞろとやって来る馬鹿な蟻どもです。
これ以上ふざけた人生観でお嬢様をおとしめないでいただきたい。オドワイヤー先生。」
今にも飛び掛かりそうな剣幕だ。
「…………。」
そんなパーシバルに少しも狼狽えることなく、オドワイヤーは手元のカルテに目を落とし、書き物を始めてしまった。
「落ち着いて。オドワイヤーがふざけてて減らず口なのはいつものことよ。」
見かねて口を挟んだアネリに対して、
「ハッハ、お嬢様はわしをよく分かっておられる。」
オドワイヤーは顔を綻ばせながらまた減らず口をたたくのだった。