惣。
「いつも…そうやって血を流すのか?」
時間が経ち赤茶色に染まった穂群を見る。

「大抵はな…」

「…今までも…こうして厄を受けて来たのか?」
病院へ行こうと言ったが、良い返事をしない穂群の為に惣が手当をする。

「衣野の血を引く者を危険に晒す訳には行かぬからな…」

「とりあえず…傷の手当はさせろよ?不死身でも痛みは感じるんだろ?」

「ああ…感じる…だから…染みるのが嫌だ…」
思いも寄らない穂群の答えに惣は呆れる。

「子供じゃないんだからな!早く見せる!」
渋々と腕を差し出した穂群の傷に手当を施す。

「いたっ…」
小さな声を出して穂群は耐えていた。

「ほら…肩も見せろよ…それで終わるから…」

「…しなきゃダメか?治癒力は高い方だが…」

「それは穂群だからだろ?普通なら麻酔して、縫合、輸血したっておかしく無い出血量だぞ?」

「そうか?」
そう言うと惣の前にも関わらず、スルスルと式服を脱いだ。

「なっ…穂群!全部脱がなくても…」

「何を今更恥ずかしがる?良く風呂に入れてやっていたのに…」

「そうかも知れないけど…」
手近にあったシャツを掛けてやろうとした惣は手を止める。

「…どうした?治療は無しで良いか?」
穂群が淡い期待にかける。

「お前…身体中が傷跡だらけじゃないか…」

「ん?まぁ…こんな生業をしておるとな…」
気にする様子も無く自分の身体を見る穂群に、やっとシャツを掛けてやった。

「お前の目的は何なんだ?」

「目的?」

「そうだ…式神なんて…要は使い捨てだろ?護符で書かれてる…さっきみたいに握りつぶして燃やして終わり…」
肩の治療をしながら惣が聞く。
思った以上に傷は大きい。

「…もう…忘れたな…」
これが…
少し考えてから、穂群が出した答えだっ
た。
< 41 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop