惣。
「この公演と追加舞踊公演に秋季祭…出過ぎだな…襲名の話でも出てるのか?」
「いいや…当家(ウチ)、みんな本名で出てるでしょ?まあ、その位の気持ちと、廃業を考える位の覚悟でやらなきゃいけない」
地下街のカフェで人の流れをぼんやり眺める惣の顔を都織は覗く。
ぼんやりとした口振りとは裏腹に覚悟を感じさせる。
「そうか…じゃあ、俺も頑張るかな…」
「なんだよ?それ…」
やっと都織を見据え惣が笑う。
「あれ?帰らないのか?」
「うん…椿さんに呼ばれてて…」
二人は珍しく別々に歩き出した。