危険なスキ ~不良くんのお気に入り~


どこかで助けを呼ぼうと夢中で走って、角を曲がった途端に誰かとぶつかった。

「―――ご、ごめんなさい!」

「いって……あれ?遥じゃねぇか」

聞き覚えのある声に顔を上げると、目の前にいたのは陽二さんだった。

「陽二……さんっ」

「おい、何で泣きそうなんだよ!」

声を詰まらせた私に慌てて、陽二さんが顔を覗き込んでくる。

「―――さ、西園寺くんが……」

私が理由を話すと陽二さんの顔が険しくなる。

「獅龍のヤツらが最近うろついてるってのはホントだったか」

その時、角の向こうから『キャー』『ケンカだっ』と誰かが叫ぶ事が聞こえた。



 
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