危険なスキ ~不良くんのお気に入り~


「あっちだな?」

陽二さんの問いに私は必死で頷く。

「遥はここにいろ。絶対出てくるなよっ」

それだけ言い残すと、陽二さんは騒ぎの中心に駆けつけていった。



私は恐る恐る角から顔を出して様子を見る。

殴られて殴り返す西園寺くんの横から、陽二さんが飛び出して別の男子に蹴りを入れた。

痛そうで怖いけれど、私は目を離す事が出来ない。

そのうち野次馬が増えてきて、遠くからパトカーのサイレンが聞こえてきた。



「やべっ!」

相手が思わず手を止める。

「逃げた方がいーんじゃねーか?」

西園寺くんが言うと、相手側はバラバラと逃げ始めた。



 
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