危険なスキ ~不良くんのお気に入り~
「―――西園寺、行ったか?」
「うん、帰った」
物陰から西園寺くん達が行ってしまうのを見守る。
「よし、じゃ行く―――どわっ!」
意気込んで振り向くと、近くにいた陽二さんが驚いてのけぞった。
「あ、ごめんなさい。髪とか当たった?」
私は長く伸ばした髪を押さえ込む。
「ああ、いや、その……近くで驚いただけだからっ」
そういう陽二さんの顔、驚いただけには見えないんだけど……?
私がジッと見ていると、とうとう視線までそらされてしまった。
「よ、よし!行くか」
ごまかす様に笑うと、陽二さんはさっさと歩きだした。
私は慌てて後を追う。
これから向かうのは、彼ら蘭高生のたまり場―――以前連れていかれた工場跡だ。