危険なスキ ~不良くんのお気に入り~
目の当たりにした気持ち
その日は、晴れていてお出かけ日和と言えた。
けれどこれから始まる事はそんな平和とは真逆の事で、自分で飛び込んだとはいえ私にはドキドキの出来事だった。
「―――来た、見えるか?」
帽子で赤い髪を隠した羽村さんが、隣で座る陽二さんに言った。
「……西園寺と、嘉川が女と話してるみたいすね」
陽二さんが見ているのはとある廃ビルの2階。
私達3人は、その隣に建つビルのゲームセンターにいる。
私も昨日の通りに男装して、彼らの近くにいた。
「五代(ごだい)の野郎、まだ出て来ねえのか」
チッと舌打ちしながら羽村さんが苛立ちを見せる。
「……まさかバレたとか?」
「それは多分ないと思うがな」