危険なスキ ~不良くんのお気に入り~
その時、羽村さんが携帯を取り出した。
着信だ。
「合図だ!」
陽二さんの顔に緊張が走る。私の心臓はうるさいくらいに鳴り始めた。
着信が切れたと同時に、羽村さんは仲間に一括でメールをした。
『作戦決行』
それを陽二さんが確認して、頷く。
「先に行く。ヨウジとお前は最後に来い!」
羽村さんは私達に向かってそう言うと、素早く走って行った。
後には陽二さんと私が残される。
「遥、行くぞ」
「う、うん」
隣のビルにたどり着くと、入り口には2人の男子が立っていた。
「うす、陽二さん」
陽二さんは目で合図して中に入る。
私も慌てて後を追った。
落書きだらけの階段を登ると、たくさんの男子で廊下があふれていた。