危険なスキ ~不良くんのお気に入り~
『俺は、もうあん時みたくお前に負けるつもりはねーからな』
あの時とは、多分中学の時の事。
アイさんが西園寺くんではなく、五代さんを選んだ時。
『亜依の事は、確かに大事だった。お前になんて絶対渡したくなかった』
その言葉は、西園寺くんがずっと何年も抱えていた想い。
『亜依はさ、お前が好きなんだよ。こんな仕打ちされても、お前の事信じてんだよ。お前だって分かってんだろ!』
大事なアイさんを想うからこそ、五代さんに叫んだその言葉。
かなうわけ、ないよね。
でもいいんだ。
そんな西園寺くんも、好きだと思えるから。
少し辛いけど、それでも彼に関わる事を今更止めるなんて出来ない。
彼に関わってしまったあの瞬間から私は、もう逃げる事など出来ない予感を感じていたのかも知れないから。