危険なスキ ~不良くんのお気に入り~
いいのかな?
そんなにも優しい笑顔を向けられてしまったら、付き合おうなんて言われたら、私は期待してしまう。
西園寺くんが私の事、少しは好きになってくれてるんじゃないかって。
「そろそろ行くか」
戸惑う私に構う事なく、西園寺くんは私の手を引いてラッコ館を出た。
それから、水族館を出る頃には辺りは夕日で赤く染まり始めていた。
私の腕の中には、ちょっと大きめのラッコのぬいぐるみ。
お土産売り場でラッコのぬいぐるみを見つけて、私はついさっきの事を思い出していたんだけど。
西園寺くんが、「そんなに欲しいのか?」と買ってくれた。
ぬいぐるみって結構高いし、遠慮したんだけど結局こうして私の手の中にある。