危険なスキ ~不良くんのお気に入り~
家までの帰り道は、以前みたいに西園寺くんが送ってくれた。
昨日までの離れていた時を思うと、今こうして一緒にいてくれるのを嬉しく思ってしまう。
今日も口数の少ない西園寺くん。
最初にすごく絡まれた時はこの沈黙の時間を不思議に思ったけど、今はそれが普通に思える。
「じゃあ、ここで」
家の門扉の前で彼が言った。
「うん、送ってくれてありがとう」
笑いかけると、西園寺くんも笑みを返してくれる。
そのまま背中を向けて歩いていくその後ろ姿を、角を曲がってしまうまで見送った。
明日、目が覚めたら夢だったなんて事じゃなかったらいいな。
そんな事を思いながら、家の中へと入った。