危険なスキ ~不良くんのお気に入り~
私は驚きのあまり、ガタンと派手な音を立てて席を立った。
それはもう、飛び退く勢いで。
「……そんなに逃げる事ねーんじゃね?」
西園寺くんは不満げな顔でそう言う。
「だ、だって!」
仕方ないじゃない!
そんな事言われたら誰だって驚くよ!
「『だって』、何?」
新しいオモチャを見つけた時みたいにニヤリと笑って、西園寺くんが私の方に距離を詰める。
「西園寺くんが、……な事言うから」
「んだよ、聞こえねえ。俺が何だって?」
「へ、変な事……言うから」
「変な事、ねぇ」
チラリとこちらに目線を投げた後、また一歩近付いてくる。
私が一歩引くと、更に進んでくる。
あれ?こんなの、前にもあった様な・・・。