危険なスキ ~不良くんのお気に入り~
冷静に考える反面、もう半分の脳裏では『危険!』という文字が思考を占めていた。
「素直に言えばいいのに言わねーからだろ?」
心配している素振りの言葉だけれど、その表情は何だか楽しんでいるように見える。
「で、でも……」
私は口ごもる。
「『だって』、『でも』?さっきからそればっかりじゃねーか」
「言えば……怒ると思うから」
私は視線の行き場をなくして俯いた。
「怒られる様な話なのか」
急に西園寺くんの声音が怒りを含んだ。
「まさか昨日の事は無かった事にしろとか言うんじゃないよな?」
「えっ?」
「付き合うの、やめるとか言うのか?」
「ち、ちが……」
私が慌てて否定しようとすると、それまで恐い顔で私を見ていた西園寺くんがニヤリと楽しそうに笑った。