危険なスキ ~不良くんのお気に入り~
最初は、強引で俺様な西園寺くんがただ怖くて仕方なくて、いつも逃げたいと思っていた。
けれど優しい彼や、可愛いと思える彼、傷を抱える彼を見ているうちに好きという気持ちが大きくなっていった。
離れていると辛くて、側に居たいと思った。
どこがと言われても、たくさんありすぎて答えられそうにない。
「アイツに、振り回されてるとかか?」
心配そうに陽二さんが私の顔を覗き込む。
私は慌てて首を左右に振った。
「そんな事ない!あの、私……今まで見た色んな西園寺くんを好きになったから」
「遥……」
「だから『どこが』とは言えなくて……」
カップをもてあそびながら、言葉を濁す。
「―――そっか、それもそうだよな。『顔が』とか言ったらどうしようかと思った」
陽二さんが笑う。
私もつられて笑った。