危険なスキ ~不良くんのお気に入り~
「さ、西園寺くんの……どこが好きか?って聞かれたの」
「へえ?で、何て答えたんだよ」
「え!そこまで言わなきゃダメ……?」
私の抗議にも西園寺くんは耳を貸さない。
当然、という顔をしている。
うう、意地悪だ……。
「たくさんあって、言えないって……」
言いながら、顔が熱くなるのを感じる。
こんな話何回も出来ないよ。
「……あっそ」
あれ?
しつこく聞いたわりにはアッサリしてる?
私は思わず西園寺くんの方を見た。
向こうをむいている彼は怒ってるみたいな、困った様な顔をしている。
もしかして、照れてる?
初めてみる表情に、私の心臓がドキドキと早く動き始めた。
「西園寺くん……」
「もう、許してやるよ」
声をかけた私を見もせずそう言うと、グイッと強引に手を繋いでくる。
そのまま、しばらく無言で歩き続けた。