危険なスキ ~不良くんのお気に入り~
そんな風に二人で話していると、居間のドアが開いてユキさんが姿を現した。
持っているトレーの上のカップからは湯気が上がっている。
「お紅茶と頂いたお菓子をお持ちしましたよ」
「ああ、ありがとう」
目の前に高そうな食器が並んでいていく。
それを見つめていると、パタパタと足音がしてまたドアが開いた。
「玲ちゃんお待たせ!」
元気で可愛らしい声が響いて、彼女の長い髪が揺れた。
「あ!アトリエ・ハッピーのクッキーだ!夏乃子大好き!」
そう言ってつまもうと手を伸ばした彼女を、西園寺くんが止めた。
「夏乃子、それより先に言う事あんだろが」
「あっ、そうだった。初めまして寺島さん!西園寺夏乃子です!」
ニコッと笑ったその顔はお人形の様に可愛くて、無邪気そのもの。
「初めまして、寺島遥です」
私が挨拶を終えると、カノコさんはソファに座って素早くクッキーを口に入れた。
「えへへ、美味しー!」
「ったく……」
西園寺くんも呆れながらクッキーをつまんだ。
「おっ、んまい」