危険なスキ ~不良くんのお気に入り~
「良かった……」
持ってきた者としては喜んでもらえると嬉しいよね。
私は紅茶のカップを手に取る。
口元まで持ってくると、フワッと爽やかなアールグレイの香りがした。
「ねぇねぇ、寺島さん!」
クッキーを食べ終え、紅茶を飲み干すとカノコさんが口を開いた。
「今日は夏乃子が玲ちゃんに頼んだから来てくれたんでしょ?」
「あ、えと……そうなるの、かな」
もちろんそれだけじゃなくて、西園寺くんのお家にも興味があったんだけど。
私が西園寺くんの顔をチラッと見ると、彼は少し肩をすくめてみせた。
「じゃあね、夏乃子の部屋に行かない?」
「え?」
「何でお前の部屋なんだよ。ここでいいだろ?めんどくせー」
「ちょっと!私は寺島さんに言ったの!玲ちゃんには言ってなーいー」
「夏乃子!お前なぁ!」
あっけに取られる私を取り残して、二人は言い合いをしている。