危険なスキ ~不良くんのお気に入り~


「ちっ、分かったよ。俺はここでテレビでも見てる」

やがて、西園寺くんが先に折れてカノコさんは満面の笑みを浮かべた。

あの西園寺くんも、妹に弱かったりするんだなぁ……。

なんだかまた意外な一面を見た気がした。



 カノコさんに連れられて、私は彼女の部屋に来た。

部屋の中はぬいぐるみがたくさんあって、女の子らしい感じがあふれている。

あ、あの水族館で買ったラッコもある!

「寺島さん、ここ座って!」

私はフカフカの絨毯の上に案内される。
スリッパを脱いで上がるとほのかに暖かい。

「ねぇ、さっきこれ見てた?」

彼女がラッコのぬいぐるみを持って来たので、私は思わず恥ずかしくなってしまう。

見られてたんだ……。


「玲ちゃんに聞いたんだけど、寺島さんも持ってるんでしょ?」

「うん。可愛いよね、それ」

私はとりあえず笑ってみせる。



 
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