危険なスキ ~不良くんのお気に入り~


「待ちくたびれたっつーの。何話してたんだ?」

「え?その、色々……」

「変な事言わなかっただろーな?アイツ」

変な事と言われて、私の頭の中にはラッコのぬいぐるみを撫でる西園寺くんを思い描いてしまう。

「う、ううん。何も聞いてないよ!」

精一杯否定してみるけれど、疑いの目線を投げ掛けられる。

「ホントか?」

「ホント、ホント!」

顔がだんだん熱くなっていくけれど、誤魔化すしかないよね。

「ふーん。まぁいいけど」

不意に、西園寺くんが立ち上がる。

「んじゃ、今度は俺の部屋見せてやるよ」

そう言って、私の手を引きながら居間を出た。





 西園寺くんの部屋は、カノコさんの部屋の向こうにあった。



中へ入ると、一番に目に入ったのが外国人歌手の男性のポスターだった。

それから本がぎっしり入った本棚と、CDコンポやCDが並んだ棚もある。

机はシンプルで、教科書や参考書が立て掛けられている。

何もかもが意外で、驚く事ばかりだ。



 
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