危険なスキ ~不良くんのお気に入り~
「……寺島?」
グラタンパンをトレーに乗せながら振り向いた西園寺くんが、私の顔を覗き込む。
「んだよ、欲しいのないのか?」
「ううん、違うよ!あ、アップルパイにしようかな」
私が慌ててそう言うと、よく焼けて美味しそうなアップルパイを取ってくれた。
それからもういくつかのパンを選んだ私達は、レジに並んで飲み物を注文する。
「わりぃ寺島、席取っといて」
「あ、うん」
言われるがまま席を取りに行くと、間もなく西園寺くんがトレーを運んできてくれた。
「ごめんね、全部持たせて。お金いくらだった?」
「いい。これはおごり」
「……ありがとう」
席に着いた私達は、あったかい飲み物を口にしながらこの後の予定について話す。
クリスマス限定のイベントをしているアミューズメントに行って、ショッピングモールへ。
お互いのプレゼントを買って交換しようという話になった。
何だかスゴく彼氏彼女っぽさを感じてしまう。
西園寺くんとこんな風に過ごす時が来るなんて、最初の頃は考えもしなかったな……。