キミの隣で想うコト
あまりに強く引っ張られたから、一瞬よく分からなかった。


あれ……?


英成の唇が私の口を塞いでいた。


「ちょっと…なに?」

慌てて英成から離れる。


「いや~おやすみのキスでもしようかと。」
英成は笑いながらそう言う。


あぁ…きっと慣れてるんだろうな。
こうゆうの、英成にとっては普通なんだろうな…そう思った。


「もっかいする?」

「いや、お断りします。」

私は軽く流して、車を降りた。


英成が私の後ろから、なんだよ~と、小さく不満な声をあげた。


「じゃあ。またね~」
私は何もなかったかのように振り返り、手を振った。

「はいよ~。」
いつもの笑顔を浮かべながら、英成も手を挙げて、車を走らせた。



"車で帰り際のキス"

大人の雰囲気がして、ドキドキするようなものかと思ってた。


実際にされると、ドキドキもしなくて、なんだか、他人事の用に冷めた気持ちの私がいた。
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