キミの隣で想うコト
私は居酒屋でバイトをしていた。

今日は22時あがり。

地下鉄を降りて家に向かう途中、一本の電話がかかってきた。


~♪
"中谷 駿"

あっ駿だ♪

あれ以来、久しぶりの電話、しかも初めて駿からかかってきたので、少しびっくりしながら電話に出る。


「はい。もしもし?」

「あっ俺だけど。今大丈夫か?」

「うん!どしたの~?」

「いやさぁ、今暇だったりする?」

「なんで~?」

「今俺隼人といるんだけど、つまらんから誰か呼ぼうって隼人が言ってて。」

隼人?
あの青パーカーだ!


「杏奈なら遅い時間でも気にせず来てくれるかなぁって。」

「あっなにそれ~?バカにしてる~。」

「してないしてない。で、どう?」

「ん~~。」

「無理そう…?」

「もちろん行きます!」

「もちろんなのかよ。」
電話越しに笑ったのが分かった。

「暇だしさ。自転車飛ばしてくー。」

「お前気をつけろよ?」

「なにが?」

「なにがって…女だろうが!」

あっそうか。いつも夜中出たりするから、考えもしなかった。

「とりあえず、前行ったコンビニで。俺ら待ってるわ。着くちょい前に連絡して。」

「はいよ。」


そう言って、走ってアパートに帰る。

ジャージに履き替え、財布を持って、大学のあるほうへと自転車を走らせた。


私は早く着きたくて仕方なかった。

一人じゃなくて済むし、なによりどんな理由でも、誘ってくれて嬉しかったから。

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