スピン☆オフ
尚吾の言ってた『G』というクラブに近づくほど、ヤバそうな連中が多くなってくる。


どう見ても小学生くらいの女の子が、中年オヤジとキスしていたり。


薄暗い細い路地では、どこかのカップルがセックスしてる。


女の声が聞こえなければ、誰も気付かないだろう。


そんなおかしな連中が、沸いて出てきている。


あたしも少し前までは、この人達と変わらなかった。


ある意味、この人達よりもおかしかったかも…。


そう思うと、この一角だけの異様な雰囲気に、怯んで逃げ出しそうなあたしの足が進んでくれる。


確実に一歩一歩と『G』に近づいている。


緊張感のような?


異様な光景に引いているのか?



ドクン…!!

ドクン…!!



心臓の鼓動が、耳の奥で聞こえてくる。


その時だった。


薄暗い路地からヌウッと腕が出てきたかと思ったら、あたしの口を塞ぐかのように力強く引きずり込まれた。


一瞬の出来事で、自分に何が起こったか理解できなかった。


むせるようなホコリとカビのような匂い。


少しでも暴れれば、壁にぶつかり腕や足が擦(す)れる。


「…思った以上に、かわいいじゃん。」


興奮しながらも、ボソッと男はつぶやいた。


抵抗したいのに、路地裏が狭すぎて思うように身動き取れない。


声を上げたとしても、ここじゃ誰も助けてはくれない。


この異常な光景が物語っている。


男の手がスカートの中に乱暴に入ってくる。

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