スピン☆オフ

「…ハァ…ハァ…ハァ。」


男の荒い息が耳にかかる。


ねじ込むように、あたしの中へと男の指が入ってくる。


力を入れ体をねじるように、男の指を防ごうとする。


それでも男の動きは止まらない。


あたしの体は、お兄ちゃんに刻み込まれたデータが、細胞ひとつひとつから反応している。


こんな汚い体、どうにでもなれ!!!


なかばヤケに近かった。


命さえ助かれば、霧生に会う希望はあるんだし。


それに、お兄ちゃんとヤッてた汚いこの体、こんな男にヤラれたって汚さが変わるわけじゃないし…。


「いいもん持ってんじゃん?!…このネックレスって、ヴィトンの新作でしょ?」


「…。」


何も答えない男の顔を覗き込むと、グイッと顎を持ち上げ激しくキスをした。


男はビックリして硬直状態。


その顔をチラッと見上げると、ハァンッと鼻で軽く笑った。


「あたしとセックスしたかったんでしょ?…モノは新品欲しがるくせに、女はお古で構わないなんて男っておもしろい生き物だね。」


男の耳元でボソッとつぶやいた。


恐怖に歪んでいく男の顔。


男は完全にパニック状態。


「すっ…すいませんでした!!!」


男はあたしの腕を振り切ると、いきなり目の前に土下座した。

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