スピン☆オフ
だけどそんなあたしを唯一大事にしてくれたのは、お兄ちゃんだった。


いつも、あたしを気にかけてくれてた。


勉強を見てくれたり、いろいろ買ってくれたり。


時にはあたしの為に、両親と言い合ってくれたり。


血は繋がっていなくても、優しいお兄ちゃんだった。


そんなお兄ちゃんが、あたしは大好きだった。


性格もよく人にも好かれ、勉強も出来る自慢のお兄ちゃん。


気づいたら尊敬が愛情に変わっていた。


気持を加速させたのは、本当の兄弟じゃないって分ってたから。



知らないままの方が幸せだったかも…


今になってなら、そんな事が思えるのかも。


あの時は血の繋がりがない事が、どんなに嬉しかったか。


あたしは疎まれてたから、部屋は当然、薄暗い屋根裏。


だけど大好きなお兄ちゃんと誰にも邪魔される事もない。


二人っきりになれる場所。


屋根裏部屋が、こんなに嬉しい事はなかった。


だってお兄ちゃんの部屋って、2階の大きい部屋で。


お手伝いさんとか親とかたまに来るから。


でも、お兄ちゃん忙しいから、なかなか来てくれなくて。


勉強とか教えてもらうのは、使いやすいお兄ちゃんの部屋。


その日は珍しくお兄ちゃんが、あたしの部屋へと来てくれた。
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