スピン☆オフ
「寝られたかな?」
少しうつむきながら首を横に振った。
「…あの実はこれなんですけど。お風呂のドアを開けたら、ダンボールが崩れちゃって…。」
「あぁ、濡れちゃった?気にしなくていいよ。」
「違うんです。このアルバムの事が聞きたいんです!!」
「そのアルバム?実は…。」
そう言いかけた時。
「ごっ…ごほんっ。」
サラリーマンのおじさん達が、邪魔と言わんばかりに咳払いした。
「ちょっと待ってて…。」
お兄さんはそう言うとレジを打ち始めた。
ドキン…。
ドキン…。
レジ横でアルバムを大事そうに抱えながら、まだかまだかと待っていた。
「ありがとうございました。」
最後のサラリーマンに、大きく挨拶すると、ニッコリ笑ってあたしを見た。
「あの~、このアルバムって…。」
「そうそう、これね俺のじゃないんだ。」
「どういう事ですか?」
やっぱり…
じゃあ誰のアルバム?
なんで、この人が持ってるの??
「実はさ、それ…貰い物なんだ。大事な人からの。」
「大事な人?」
「うん。憧れてた近所のお姉さんでさ。」
そう言いながら、懐かしいような照れたような目をしている。