スピン☆オフ
「教えてくれませんか?その大事な人。もしかしたら、あたしの探している人と知り合いかもなんです。」
すがりつく様な声。
「…教えるのは構わないけど、例え知り合いだったとしても、キミの探している人の居所は聞けないよ。」
「何でですか?」
「亡くなったんだ。」
ポツリとつぶやくと、急に悲しそうな顔になった。
今にも泣き出してしまいそうで…。
「亡くなったって…事故か何かですか?」
「…そんなんじゃない。その方が良かったかもな。」
「病気?」
「…。」
お兄さんは首を振るだけで、言葉は出てこなかった。
「じゃあ…。」
「…ごめん。これ以上は今は言えない。家で待っててくれないか?」
「わかった。」
サンドウィッチとウーロン茶の入った袋を手に取り、コンビニから出て行った。
もう霧生の手がかりが消えた。
一晩だけの甘い夢だった。
霧生に会えるかも知れない。
現実なんて、そんなに甘いものじゃないと唇を噛みしめた。