スピン☆オフ
ダメッ!!!


こんな事できない。


だけど心とは裏腹に、体は尚吾の動きに反応してしまっている。


そう、お兄ちゃんにインプットされているこの体。


反応しないはずなんかなかった。


ここまで、お兄ちゃんに汚染されているなんて…。


泣きたくても泣けない。


気持ち悪くても、体が言う事を聞いてくれない。


尚吾の唇が首筋に鎖骨に…。


その度に体は尚吾を迎え入れていく。


こんな体が悔しい!!!

こんな自分が情けない!!!!


ぎゅっと目をつぶりながら、力の入らないこの体が、憎らしくてたまらなかった。


「紗羽…。」


囁くようなつぶやくような、優しい尚吾の声にゆっくりと目を開けた。


ぎゅっとつぶっていたはずの目は、いつの間にか潤んでぼんやりとしている。


その目を見た瞬間、尚吾の動きがピタリと止まった。


「…しょう…ご?」


甘い吐息のような声が出た。


「お前…。」


少し驚いたような顔をしている。


やっぱり異常な反応のあたしの体。


変に思わない方がおかしいよ…。


この場から消え去りたい。


時間を戻せるなら全てを消し去ってほしい。


全身に送られた血液が、高温を発しているかのように全身が熱くなった。

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