スピン☆オフ
尚吾の顔がまともに見られない。
顔を背けていると、尚吾の呼吸が耳元で聞こえてくる。
ゾクッ!!!!!
背中にくるものがある。
体の自由が利かない。
泣き叫びたい自分が心の中にいた。
ぎゅっときつく唇をかみ締める。
助けて…!!
助けて…!!
心の中で何度も叫んでいる。
助けて!!!
強く思った瞬間、霧生の顔が浮かんだ。
『ガチャッ』
何かの音が頭の中に響いた。
それと同時くらいに、あたしの膝蹴りが尚吾の肋骨辺りに命中していた。
「…っつ。」
声にならない声をあげ、そのまま肋骨を押さえながら倒れ込んだ。
霧生が心の中の何かに鍵をかけたんだ。
急いでソファから脱出すると、フロアのドアノブに手をかけ
「最低っ~!!!!」
吐き捨てて出て行った。