スピン☆オフ

尚吾の顔がまともに見られない。


顔を背けていると、尚吾の呼吸が耳元で聞こえてくる。


ゾクッ!!!!!


背中にくるものがある。


体の自由が利かない。


泣き叫びたい自分が心の中にいた。


ぎゅっときつく唇をかみ締める。


助けて…!!


助けて…!!


心の中で何度も叫んでいる。


助けて!!!


強く思った瞬間、霧生の顔が浮かんだ。


『ガチャッ』


何かの音が頭の中に響いた。


それと同時くらいに、あたしの膝蹴りが尚吾の肋骨辺りに命中していた。


「…っつ。」


声にならない声をあげ、そのまま肋骨を押さえながら倒れ込んだ。


霧生が心の中の何かに鍵をかけたんだ。


急いでソファから脱出すると、フロアのドアノブに手をかけ


「最低っ~!!!!」


吐き捨てて出て行った。


< 143 / 298 >

この作品をシェア

pagetop