スピン☆オフ
10分もしないうちに、お兄ちゃんが部屋に来た。


「ごめんな。待たせて。」


そう言いながら、あたしの隣に座った。


「大丈夫。…忙しくないの?」


「今日は、予定ないから。」


優しく頭をなでてくれるお兄ちゃん。


その手が大きくて。


…暖かくて。


「紗羽も恋わずらいする年になったか…。」


切なそうな顔。


「うん…。」


心臓バクバクして、返事をするのがやっと。


「同級生か?」


「…あのね…あの…と、年上…。」


顔が真っ赤になっていくのが分る。


「中学の先輩か…。」


「ち…違う…。」


「お兄ちゃんの友達?」


少しビックリした顔。


「それも…違う。」


「じゃあ、学校に行く途中でいつも見かける人とか?」


大きく首を横に振った。


この時点で心臓は限界を記録。


フルマラソンを全力で走り続けたかのように、マッハの鼓動が体中駆け巡ってる。


これ以上緊張したら心臓は破裂しそうなくらい。


「あ…あのね…お兄ちゃん。」


「なに?」


何も知らず優しい微笑だ。


「あたし、お兄ちゃんが好き!!」


一生分の勇気を振り絞った。


お兄ちゃんの動きが止まった。


ビックリした顔。


…もうダメ!!


お兄ちゃんに嫌われた。

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