スピン☆オフ
「女の子いらない…。」


そう言って、あたしに抱きつこうとした瞬間


「お座り!!!!」


秀に言われた通り、大きな声で言ってみた。


ピタリと尚吾の動きが止まった。



ありゃ?


本当に『お座り』で、大人しくなっちゃった。


まるで忠犬ハチ公みたい。


本当に動かないのか?


ホッペをつついてみたが、微動だにしない。


それをいい事に、両頬を持ってビヨ~ンと伸ばしてみた。


そのブッサイクな顔が笑えて。


「くっくっく…。」


笑いを堪えるのに必死。


まだ尚吾は動かない。


だけど尚吾は両手をグウにして、ピタッと姿勢良く立っている。


ニッと笑って、ゆっくり後退りすると


「よしっ!!」


大きく叫んだ。


「何しやがる~!!」


むくれた顔をして、後を追いかけてきた。


「だって~、本当に動かないんだもん!!」


走って逃げながら笑って言った。


外に逃げ出した途端、尚吾が後ろから抱き上げて捕まってしまった。


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