スピン☆オフ
「…お兄ちゃんも、紗羽が好きだよ。」
優しく諭すような声。
「本当に?」
いつの間にか、目には涙が溜まってた。
相当、緊張してたから…。
「俺にとっては、大事な妹だから。」
「…。」
やっぱり、兄妹の壁は越えられなかった。
緊張で溜まってた涙が、悲しみで溢れ出した。
「泣かないで紗羽。最後まで話を聞いて欲しい。」
「えっ?」
見上げたお兄ちゃんの顔は、優しい笑顔のまま。
「この家に来た時、本当にかわいい妹が出来たと凄く嬉しかった。
だけど、やっぱり血は繋がっていない。それが心のどこかに隠されてた。
紗羽が成長するたびに、隠されてた気持が見えてきて…。
妹と分かっていても、どこかで女の子として見ていた。」
「それって…。」
「でも兄妹だ。自分の気持ちを出してしまえば、紗羽を傷つけてしまう。
そう思うと、芽生えた感情を押し殺すしかなかった。」
「お兄ちゃん…。」
嬉しいはずなのに涙は止まらない。