スピン☆オフ

だって『G』って、いい思い出ないんだもん。


最初は襲われたし、2回目は秀が目の前でやり始めちゃうし…。


それに、あの無法地帯。


気分はLOW状態なのに、秀が無理矢理に腕を引っ張ってビルを出ると、すぐにタクシーを捕まえて押し込めた。


「ちょっと、なんなの?」


少しキレ気味。


「オレからの、誕生日プレゼント。」


ニッコリ笑って渡された白い小さな封筒。


「…なに、この封筒は?」


眉間にシワを寄せて、秀の顔を見上げた。


「生きてたよ。」


ただ、その一言で中身が分かった。


慌てて封筒を開けると、そこには霧生の住所が書かれていた。


「さすがに、尚吾の前じゃ渡せないからさ。」


書類を食い入るように見てるあたしの目から、涙が溢れた。



…生きてたんだ。


死んでなんかいなかったんだ。



書類に付いてた写真は、少し痩せて顔が変わっていたが、それでも元気で生きていたことが嬉しかった。


秀は、何も言わずに優しく頭を撫でていてくれた。


霧生に会いに行こう!


会って、キチンと話をしよう。


そう思いながら、書類を抱きしめた。






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