スピン☆オフ
隠された事実
言葉をなくしたあたしに、霧生は追い討ちを掛けるように話してくれた。
あたしと知り合う前だった--------------。
それは院長室に、書類を届けに行った時だった。
院長が誰かと話していたのだ。
来客かと思い、しばらく様子を見ていた。
しかし、会話の内容が明らかにおかしい事に気付き始めた。
「アメリカに居る引退したジイさんが、認めないと言ってる。」
それは、院長の声。
「お祖父さんですか?」
この声は、院長の長男の秋洋。
「ああ。実際に蒔宮の血を受け継いでるのは、紗羽しかいないと言い張ってな。だから、秋洋には財産はあげられないと。」
「どういう事ですか?」
「あの子の価値は、ジイさんが死ぬまでだ。」
「紗羽の価値?」
「ああ。今朝、エアーメールが来てな。財産は紗羽に譲ると言い出しやがった。あれほど、男以外は認めないと言っていたジイさんなのに。やっぱり、血の繋がりが大事なんだとさ。」
「じゃあ…。」
「あんな娘、価値なんか無いと思っていたが、財産を受け継ぐまでの小道具。好きにするといい。」
「好きにとは?」
「お前達がデキてるのは知ってる。」
「それは…。」
慌てて取り繕うと言葉を探している。
あたしと知り合う前だった--------------。
それは院長室に、書類を届けに行った時だった。
院長が誰かと話していたのだ。
来客かと思い、しばらく様子を見ていた。
しかし、会話の内容が明らかにおかしい事に気付き始めた。
「アメリカに居る引退したジイさんが、認めないと言ってる。」
それは、院長の声。
「お祖父さんですか?」
この声は、院長の長男の秋洋。
「ああ。実際に蒔宮の血を受け継いでるのは、紗羽しかいないと言い張ってな。だから、秋洋には財産はあげられないと。」
「どういう事ですか?」
「あの子の価値は、ジイさんが死ぬまでだ。」
「紗羽の価値?」
「ああ。今朝、エアーメールが来てな。財産は紗羽に譲ると言い出しやがった。あれほど、男以外は認めないと言っていたジイさんなのに。やっぱり、血の繋がりが大事なんだとさ。」
「じゃあ…。」
「あんな娘、価値なんか無いと思っていたが、財産を受け継ぐまでの小道具。好きにするといい。」
「好きにとは?」
「お前達がデキてるのは知ってる。」
「それは…。」
慌てて取り繕うと言葉を探している。