スピン☆オフ
霧生にメールをしようか?


ずっと帰りの電車の中で考えていた。


だけど怖くてメールができない。


本当にあの人は霧生だったの?


霧生はあんな事する人じゃないし…。


だけど『チワワ』って名前を知ってるのは、霧生しかいない。


自問自答ばかりして。


ジッと携帯を見つめてた。



『件名 いま何してる?

本文 ------

話がしたいの。今日は暇?』



秀にメールしていた。


1人になりたくなくて。


悲しみと不安に押し潰されるのが分ってたから。


だけど駅についても、秀からは返事がこなかった。


携帯を握り締めたまま、トボトボとあてもなく歩いた。


頭はボーっとして、何も考えられない。


それなのに、気付くと尚吾のいるビルに来ていた。


自分でも、どうしてここに来たか分らない。


きっと、ここにくれば誰かがいるのが分ってたから。


本能的にここに来てしまったんだ。


フロアのドアを開けると、尚吾が1人ビックリした顔であたしを見た。


「どうしたんだよ?…その顔。」


慌てて駆け寄ってきた。

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