スピン☆オフ
「唯ちゃん来てたんだ。メール返せなくてごめんね。さっきまで、ホテルにいたからさ。」


秀の声の感覚から、入り口近くの丸いテーブルの方に座ったのが分った。


「あ~、はいはい。すいませんね。お取り込み中にメールして。」


茶化しながら、嫌味っぽく言った。


絶対に在り得ない、尚吾の膝枕の光景に突っ込んでくるはずなのに…。


何も言ってこない。


あたしには見えないけど、きっと、秀と尚吾でアイトークをしたのだと感じた。


「かわいい唯ちゃんのメールだったから、返事ができなくて申し訳ないから飛んできたよ。」


秀も冗談で笑わせてくれる。


「急いできたんだったら、階段くらい走って息切らせてこいよ。」


いつもだったら、尚吾がヤジを入れるはずなのに、今日は尚吾も一緒に冗談言って笑ってる。


「やっべぇ~、そうすれば完璧だったか。」


「そうやって、いつも女の子騙してるんだ。」


「人聞き悪いな。騙してませんよ。オレは、一人ひとりにちゃんと尽くしてますから。」


「そうなんだよ。秀はマメだからな。1人ずつ、ちゃんと誕生日とか記念日とか、マメにプレゼントとかしてるし。女達も納得してるからな。」


「意外!!!!」


「でしょ?!やる前には、ちゃんと遊びだよって言うから。それが嫌だったら遊ばないし。」


「ふ~ん。じゃあ、彼女作らないんだ。」


「1人に絞るのは、もったいない気がしてさ。」


顔は見えないけど、少しだけ声のトーンが下がったのが分った。

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