スピン☆オフ
「本当に可愛いね。高校の時、秋くんが好きで妬けたな。妹が一番だったし、てっきり、二人は近親相姦なんて噂になってぐらいだよ。」


「あっ!あたし、帰りますね。実は、行かなきゃいけない所があって。断るの悪いから、顔を見に来ただけなんで。」


一秒でも早くここから離れたかった。


「なんだ、秋くんの話ししかったのに。それじゃあ、また今度ゆっくりね。」


美緒ちゃんがニッコリ笑う。


あたしもニッコリ笑って、足早にそこから離れた。


「唯どうした?」


意味が分からず、尚吾と秀が追い掛けてきた。


「なんでもない。ごめん。」


嫌な予感が頭を埋めつくす。


お兄ちゃんに、居所がバレるかもしれない。


連れ戻されたら、どうなるか。


前に、一度連れ戻された。


誘拐とかって嘘をついて、警察使って探し出して。


その時、監禁状態で常に見張られてた。


上手く目を逃れて脱走したけど、今度は男といたなんてなったら、そうはいかなくなるかも。


不安で押し潰されそう。

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